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エクソソームによる再生医療とは?期待できる効果や注意点について徹底解説

エクソソームは、さまざまな病気の診断や治療に成果が期待できる次世代の再生医療として注目を浴びています。

サプリメントや化粧品などに配合されたものも既に販売されているため、使ってみたいと思っている方も多いのではないでしょうか。

しかし、利用には費用や副作用など注意点があるのも事実です。この記事では、エクソソーム再生医療の特徴について解説し、悩みの改善につなげられるような情報を紹介します。

エクソソーム再生医療

エクソソームは体内の細胞から分泌される小胞であり、細胞間の情報伝達をしながらさまざまな働きをすると考えられています。医療においても、さまざまな疾患治療への応用が期待されており、研究が進められています。

エクソソーム再生医療とは

日本における再生医療は、2014年に世界で初めてiPS細胞を用いた移植手術を実施して以来、着実に成果を上げている分野です。

再生医療は、これまで治療法が見いだせなかった患者にも改善の可能性が期待できるため、安全性の確認と実用化が急がれています。

エクソソームはいまも多くの研究が行われており、その効果についてすべて解明されていません。しかし、あらゆる生物の体内に自然に存在する成分であることから、安全性やリスクに関しては強く懸念されるものではありません。そのため、美容業界では若返りが期待できる治療法として取り入れているクリニックも多く見られます。

参照元:厚生労働省

エクソソーム再生医療の特徴

極小粒の物質であるエクソソームは、血液を通じて全身を循環することで、機能回復などの効果が全身に作用すると考えられています。

したがって、細胞レベルでの回復作用効果が期待できるのです。機能障害に陥った臓器などに対して、細胞レベルから機能再生をはかります。

エクソソーム再生医療に期待できる効果とは

多くの可能性を秘めているエクソソーム再生医療ですが、実際にはどのような悩みに対して効果があるのか気になる方も多いはずです。

ここでは、それぞれの症状におけるエクソソーム再生医療の期待できる効果について紹介します。

アンチエイジング

エクソソームは、再生医療において効果が期待できると考えられています。しかし、アンチエイジングの分野では、その効果がすべて解明されているわけではありません。

ただし、エクソソームにはコラーゲンやエラスチンの生産量低下を防止する効果が期待でき、シワやたるみといった加齢による肌の悩みに有用である可能性が示唆されています。

抜け毛・薄毛

エクソソームには再生能力・抗炎症効果・細胞増殖などさまざまな能力があると考えられています。

毛髪再生においても、エクソソームが持つタンパク質や成長因子が薄毛要因をブロックし、男女を問わず発毛促進・抜け毛防止に効果が期待できます。

エクソソームを配合した薄毛治療用の薬剤を使用する医療機関も増えています。

抗炎症・免疫調整・アトピー性皮膚炎

エクソソームは、長年細胞内の不用物を外に排出するためのものと考えられてきました。しかし、近年では細胞間で脂質やタンパク質を交換する媒体であるとの認識もあります。

特に、免疫細胞由来のエクソソームは、免疫機能向上の効果が期待されているのも事実です。

また、アトピー性皮膚炎においても、ヒト脂肪由来のエクソソームで炎症レベルの低下が報告されており、有望な治療法である可能性が期待されています。

血管再生・新生

エクソソームには、血管の再生や新生効果も期待されています。血管内にエクソソームを注入することで、血管の抗炎症や抗酸化作用が促されしなやかでハリのある血管へと導きます。

一方で、一部のエクソソームには、がん細胞を活性化する働きがあるといわれています。近年、がん細胞から分泌されたエクソソームは、血管新生を促し腫瘍内に血管の生成を誘導していることが判明しました。

エクソソームは再生医療を通じて、人々を老化や炎症などから守る効果が期待される反面、がん転移や悪性化を促す役割を担っている可能性が示唆されています。

そのため、がんを患っている方のエクソソーム治療は推奨されていません。

アルツハイマー型認知症の治療

アルツハイマー型認知症は、根本的な治療法がないといわれてきました。病気を引き起こす原因としては、脳細胞から分泌されるアミロイドβと呼ばれるタンパク質で、脳神経に障害を与えることが分かっています。

そこで注目されたのがエクソソームです。エクソソームはアミロイドβを取り込む性質を持っており、次々と結合した2種の細胞はやがてミクログリアという細胞に取り込まれ分解・除去されます。

こうした結果、アルツハイマー型認知症の治療に役立つのでは、と考えられているのです。

スポーツなどによる損傷の回復

スポーツや運動などによって人体を損傷したり一部を失ったりした場合、これまでは機能回復のために移植や人工組織が使われてきました。しかし、iPS細胞作成技術の開発により、再生医療の幅が広まりました。

加えて、間葉系幹細胞の治療効果とエクソソームの関係性にも注目が集まっており、自己修復能力の向上や組織再生を促進する効果があるとして研究が進んでいます。

エクソソーム再生医療が、これまで回復が見込めなかった患者に大きなメリットをもたらしていると考えられています。

エクソソーム再生医療はどんな人におすすめ?

エクソソーム再生医療は美容や健康など、さまざまな効果が期待できます。具体的には以下のようなお悩みを持っている方におすすめです。

  • いつまでも若々しくいたい方
  • ハリやツヤのある肌を保ちたい方
  • 髪のボリューム感に不満のある方
  • 免疫力向上を期待したい方
  • 加齢による身体の不調に悩んでいる方

エクソソームを取り入れるには、クリニックや病院で施術を受けることが一般的です。サプリメントや化粧品もありますが、効果が立証されていない製品が多いので、信用できる販売元から購入することが重要です。

どのような治療が自分に合っているのか迷う場合には、医療機関に相談してみるのも1つの方法です。

エクソソーム再生医療の注意点

疾患の予防・治療から美容までさまざまな効果が期待できるエクソソームですが、利用にはいくつかの注意が必要です。ここでは、エクソソーム再生医療を受ける際の注意点について紹介します。

副作用が起こる場合がある

エクソソームを体内に取り入れるには注射や点滴などがあり、施術にはいくつかの副作用の可能性があります。

  • 注射後や点滴後の腕の痛み
  • 針を刺す際にできる傷や内出血
  • 感染症

上記の症状は、エクソソームに限らず起こりうる副作用です。特に感染症に関しては、クリニックや病院で細心の注意を払い、何か心配な反応などがあった場合はしっかりとアフターフォローが行われることが大切です。必ず信頼できる医療機関で治療を受けるようにしましょう。

高額な費用がかかる

人間の体内にある細胞から分泌されるエクソソームは、再生医療はもちろんヘルスケア分野でも注目を集めています。

化粧品や食品にエクソソームを配合している商品も増えつつあり、需要は高まる一方ですが、人体の組織から作られるエクソソームの製造量は決して多くありません。

さらに抽出法に超遠心法が採用されており、高額な大型超遠心機が必要です。そのため、エクソソーム再生医療は費用が高額になる傾向にあります。

エクソソーム再生医療を検討する際は、事前に必要な費用について確認しておいた方がいいでしょう。

施術が受けられない方もいる

エクソソーム再生医療は、残念ながらどなたでも受けられる施術ではありません。以下の項目に該当する方は必ず医師に相談の上、治療可能かどうかを確認してください。

  • 妊娠中・授乳中・不妊治療中の方
  • がん治療中の方

エクソソーム再生医療は医学会でも注目を集めているものですが、安全性を保証するデータが十分に揃っていません。そのため、妊娠中や授乳中、不妊治療中の方への治療は避ける傾向にあります。

また、エクソソームは情報を伝達する役割があります。がんの転移にも大きく影響すると考えられているため、がん治療中の方へのエクソソーム再生医療の提供は推奨されていません。

参照:日本工業大学

永続的な効果を期待する場合は複数回の治療が必要

エクソソームを体内に点滴注入した場合、その直接的な効果は3日〜1週間といわれています。1回のみの治療では効果が実感できない可能性が高く、複数回継続する必要があります。継続回数については、医師すると良いでしょう。

治療目的によっても適切な回数が異なり、費用についても変動があります。具体的な治療回数や費用を理解し、計画性を持って治療に臨むことが必要です。

まとめ

エクソソームの研究が進むことにより、再生医療の幅は大きく広がりました。まだ不明な点は多いとはいえ、今後の医療に期待が持てるのは間違いありません。

しかし、治療目的によっては必要な日数や異なったり高額な費用がかかったりするので、医師との相談が必要です。

今後もエクソソーム再生医療についての研究が進み、多くの疾患や悩みが改善されることが期待されます。

記事監修

点滴療法研究会マスターズクラブ(会長:国際統合医療教育センター所長・元杏林大学教授 柳澤厚生)は最新のエビデンスに基づいた点滴療法を提供する医師・歯科医師・獣医師を会員とするグループです。

欧米では科学的に根拠のある様々な点滴療法が代替統合医療・アンチエイジング医療の現場で広く行われています。高濃度ビタミンC点滴療法は米国国立衛生研究所(NIH)や国立癌研究所(NCI)が注目し、カンザス大学やジェファーソン大学では卵巣癌、子宮ガン、悪性リンパ腫の患者について臨床研究が進行しています。

キレーション療法はNIH代替医療部門でTACT Studyと呼ばれる狭心症・心筋梗塞に対する臨床研究を、グルタチオン療法は南フロリダ大学でパーキンソン病に対する臨床研究が行われています。キレーション療法は米国で年間100万件以上実施され、高濃度ビタミンC点滴療法は1万人以上の医師が癌治療に採用しています。

私たち点滴療法研究会マスターズクラブの会員は、最先端の点滴療法を提供できるように最新の医学情報を学び、常に患者様が安全に点滴療法が受けられるよう技術を磨いています。

※当サイトの情報は点滴療法研究会の全体で監修されており、会長医師一人の意見によるものではございません。

会長の医師プロフィール

経歴

杏林大学医学部卒、同大学院修了。
医学博士。米国ジェファーソン医科大学リサーチフェロー、 杏林大学医学部内科助教授、杏林大学保健学部救急救命学科教授を経て、2008年より国際統合医療教育センター所長。

詳しい経歴や医師の想いについては、医師のプロフィールのページをご覧ください。

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